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クロマニヨンCEOコラム:007「言葉変われば」

先日、アウターの下に着るニットを買いに行きました。
近くにいた若い女性の店員さんに「あの青いやつを見せてください」と言ったら「あ!あのサックスブルーですね」と普通に訂正され、ちょっと恥ずかしいなと感じたのでした。

(写真は「AOURE」さんですが、以下のエピソードは「AOURE」さんではないですよ!笑)

しかしめげずに「このワインカラーも捨てがたいですね〜」と伝えると、
「ですね!こちらのボルドーカラーも人気なんです!」とこれまたソッコー訂正。
ちょっと待て!じゃ「ブルゴーニュ」じゃダメなのかよ!?と、全力で反論したくなるのを抑えながら、パンツのコーナーに移動。
すると僕の大好物な軍パン風カーゴパンツを発見。ふふっ。この薄い緑色の・・・なんてもう言わないぜ、と呟きながら「このカーキ色はサイズありますか?」と言ってやったのです。しかし、そのお姉さんは食い気味にこうお答えになりました。

「こちらの”ピスタチオカラー”は小さいサイズしかないです。」

「え〜い!待てぇい!なら”抹茶色”でもよかろーもん!」

もちろん最後の台詞は言ってませんが、めちゃくちゃ面白い気づきの時間でした。

この手の「言語化の変化」とも言うべき現象は、とっくの昔から多々あります。
先日、新聞か何かのコラムで”いつのまにか呼び方が変わったもの”という話題を読みました。
たとえば「タートルネック」。むかしは「とっくりセーター」と普通に呼んでいました。
ジャケットの下には「ベスト」ではなく「チョッキ」を着ていたし、うちの母親は「クルーネック」などとは言わず、いまだに「丸くび」シャツと言ってます。
さらには、娘に「今日は、ジーパンか?」って聞いたら「デニムって言ってよ」と言われたり、いまだに「タンクトップ」を「ランニング」と口走りそうになったり・・😂

色の話も、ファッションの話も、これは「時代に合った言語化」の一つです。まだ、こうしたファッション的な話は「かっこいい」とか「センスあるっぽい」くらいで片付けられますが、他にも色々なタイプの”いつのまにか呼び方が変わったもの”がありますよね。

「保母さん」から「保育士」へ。「スチュワーデス」から「キャビンアテンダント」へ。
「看護婦」から「看護師」へ・・などは、この職業は女性がやるものだ!という”社会的な決めつけを正すため”の変化で、素晴らしいなぁと思います。

逆に”後ろめたさを軽減するため”・・・のような気がする変化もあります(ってか、これが多い!笑)。
例えば「プータロー」は若干脱力した人生っぽく聞こえてしまうけれど「ニート」といえば少し人生に戦略的な気がする(のか・・?)。
サッカーで「自殺点」やっちゃうと、本当にそういう事件が起こりそうだけど「オウンゴール」だと、試合の流れでやむを得ない気がしてくる。
「デキちゃった婚」は無計画そうだけど「授かり婚」は神の思し召しのような気がする。
さらには、僕には大好きな「AV女優」がいる!というよりも、大好きな「セクシー女優」がいるのほうが赦される気がする(そうか?笑)。・・・あぁキリがない。

◆企業の想いの言語化。
こうした、言い換えただけで「意味合い」や「ニュアンス」が変わるくらい、言葉は超強力であり、重要だと言うことです。

私はいつも、ブランディングにおいて
最優先事項は「言語化」。
最重要事項は「一貫性」。
と言っています。

この「言語化」とはまさに「パーパス」や「ミッション」をメインにした「経営理念」です。ここには、その企業の存在意義や社会に何を寄与するのか?を定めるべきで、それが定まって初めてデザインやホームページなどのクリエイティブが世に出ていく流れになるべきです。

僕が言いたいのは、いろいろな会社の企業理念を見ていて思うのは、その内容が「前時代的」だったり「表現的に意味が伝わりにくい」ものが多くあったりするということ。
それは、表現だけではなく、今伝えるべき内容になっているか?ということも含めてです。
昔からある会社の理念を見ていると中には「社是」「社訓」という、なかなか重厚な言葉が掲げられています。私はこれを否定しません。おそらくは創業者が作られた宝物だからです。

しかし、そこに書いてある言葉が機能しなければ、意味がない。
例えばある(架空の)会社の企業理念に「以和為貴」という言葉が掲げられていたとします。
おそらく、若い新入社員は意味がわからない(笑)。もしかすると、30年働いているけど「聖徳太子の言葉かなんかやろ?」くらいの認識しかない可能性が高い。

それは「和を以って貴しと為す」と読んで、意味は「とにかく人間争わず、仲良することが貴いことだよ」ということです。だから、仲良くしようね!
・・・という社内研修をするとします。それは間違っていません。しかし、私的にはこの言葉では、今の時代で強烈なガバナンスを生み出すことはできないと思います。

今の時代、企業のミッションが「仲良くしよう」では足りないのです。
世の中が(例えば戦中・戦後の混乱期などで)、みんな先を争っていたり、嘘をついてでも儲けてやろう!みたいな人間が多かった時代は、差別化の意味でも「仲良くしよう!」「正直にやります!」だけでも十分よかった。しかし、このコンプライアンスとSNSの網で監視された社会では、そんなのは当たり前です。
端的にいうと「仲間と仲良くするため」に企業内外での難しい課題に立ち向かっているためではないはずです。個人的には生活費を稼ぐための側面はもちろんありますが、もっと大きな視座で考えれば、単に自分たちがどうなりたいよりも上位概念として、自分たちが「社会にどんな価値をもたらすのか?」の言語化をしなくてはいけません。

ソニーさんは
「クリエイティビティとテクノロジーの力で、世界を感動で満たす」と言ってます。

テスラさんは、
「世界の持続可能なエネルギーへの移行を加速させること」と言ってます。

あなたの会社は
「みんなと喧嘩せずに、仲良くします!」では、社会に対する価値が違います。

社会にどんな価値をもたらすのか?を明確に言語化する。そして、それを実現するために「仲間を大切にする」とか「倫理観をしっかり持つ」という目指すあり方を、ビジョンやバリューで定めるのはいいでしょう。そして、それらを社員みんなで納得する形で、根幹として共有している。

これが、今の時代の魅力的な企業です。

「ロスタイム」を「アディショナルタイム」と呼び替えると、「失われた時間」から「与えられた時間」という前向きなイメージにはなっても、本質は変わらない。しかし、企業理念を時代に合った、そして社員全員が同じ方向に進めるような言葉に変えれば、組織の本質的な変化も期待できると、私は信じています。

皆さんの会社、組織はいかがでしょうか?

ちなみに、クロマニヨンは理念的なものを「PURPOSE&IDENTITY」として持っています。


今後も、このパーパスに恥じない仕事を皆さんとやっていければと思います!

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