「ホンダカーズ博多」自動車ディーラーの未来を見据え、自らの存在意義を明確にする企業ブランディング
ネットで車が買える時代に、街のディーラーが宣言する存在意義とは。 | 福岡県新宮町
「ホンダカーズ博多」は、文字通り「HONDA」の車を専門に扱うディーラーとして、年商:180億円(2023年現在)、総従業員300名を誇る福岡の会社です。本社は、「イケア」や「カインズ」が進出し、近年人口が爆発的に増加している福岡県新宮町にあり、福岡県下に23店舗(2024年6月現在)を展開している優良企業です。
そのHCHの若き常務 武藤氏からご相談を受けたのが、2021年の夏。建築デザイナーの一ノ瀬氏(CASE)にご紹介をいただき、お会いしたのでした。
武藤氏は、企業ブランディングというものの必要性を強く感じる、と切り出されました。しかし、私としては天下の「HONDA」ブランドを掲げ、大きな企業活動自体のどこに不安があるのかわかりませんでした。そんな私たちに武藤氏は、企業ブランドの確立を思い立った最大の理由を話してくださいました。
「昔と違い”クルマ”は、多くの若者たちの憧れの商品ではなくなっている。今の若者たちは、車には乗るが「所有」することへの執着は小さくなっている。また、メーカー自体が”クルマがネットで買える”というサービスをうちだすなど、いろんな手段で買うことができるようになる。未来へ向けてこれからの”カーディーラーの存在”を、ちゃんと考えたいのです。」
また、時代の変化を受けつつも、まだ業績が安定している今のうちに、しっかりと会社として未来に備えたいということも付け加えられました。さらには、2024年秋には、オフィス、ショールーム、そしてサービス工場が一体化した、巨大な新社屋の建築も予定されており、タイミングはここしかない!という武藤氏の直感ともいえる想いも聞かせていただき、このプロジェクトはスタートしました。
(2024年秋の完成を目指す巨大な新社屋)
ご依頼いただいた武藤常務はもちろん、社長以下キーパーソンへの深いインタビュー。
全社員へのアンケート。そして、ワークショップを重ねて行くうちに見えてきたのは、福岡県内各地に店舗を持つ同社の地域への思いと、人と人とのつながり(社内外)を大切にする社風でした。
ホンダカーズ博多のPURPOSEと企業スローガン
その後、分析期間を経て行き着いた経営理念は、その想いを体現するものになりました。
ホンダカーズ博多の「パーパス」は、
“⼈と街が、前に進むための⼒になる。”
ホンダのモビリティの⼒を通して、地域や社会、未来に希望をもたらせる企業となることを、会社の存在意義として定め、各店舗でそのパーパスを実践していくことになります。
また、この理念を元に同社の店舗全体の提供価値をブランドプロポジションとして明文化しました。
“夢のカギを渡す場所”
私たちはカギを持っています。
それは、クルマやバイクを動かすためだけでなく、
モビリティを通じて明⽇への扉を開く、
夢のカギでもあります。
ホンダカーズ博多は、お客様⼀⼈ひとりを、
そしてこの街全体を元気にするために、
夢のカギをお渡しする。
そんな場所になります。
車を一台でも多く売る!それは、ビジネス上、またディーラーである以上重要です。
しかし、同社はその地域の未来へ向けた取り組みを、モビリティを通して行なっていくことを最大の価値として定めました。
ホンダカーズ博多 独自のコーポレートロゴを開発
同社は、理念策定に引き続き、コーポレートロゴの制作にも着手しました。
もちろん、全国の「ホンダカーズ」に共通するロゴタイプは存在していますが、車を販売する「だけ」ではないという同社の理念の元に、独自デザインのコーポレートロゴを持つことを決定しました。
我々クロマニヨンは、ロゴデザインを「表参道ヒルズ」のロゴをはじめ、多くの企業や公共施設のロゴデザインを手掛けてきた「DIAGRAM」の鈴木直之氏に依頼。
「人と街が、前に進む力になる。」という理念を内包しながら、社員たちが誇れるような独創的なデザインをテーマにお願いしました。そして、数パターンの中から最終調整してロゴが完成しました。
(アプリケーションは、提案段階のもの)
理念と新ロゴを全社会議で発表
実に3年の歳月をかけて、新理念と新ロゴを開発し、いよいよ社員の皆さんに発表する段階になりました。その際、クロマニヨンとしては、メールや社内報で公表するのではなく「リアル」な場で、直接発表することをご提案しました。武藤常務にもこの提案を快諾していただき、年一回の全社員ミーティングに、その時間を作っていただくことになりました。
壇上には、このプロジェクトのオーナーである武藤常務のほか、推進してきた中古車部長の山下氏、福岡地区エリア長の古賀氏、営業部長の明石氏、それにクロマニヨンの小柳、野中が登壇させていただきました。
(壮観な全社員ミーティング ステージより)
この場で、クロマニヨンのファシリテーションのもと、理念完成へ至る経緯、そしてロゴマークのお披露目までを、客席を巻き込みながら、トークセッション形式で行うことで、その過程が思い出されることで「自分ごと」となるいい雰囲気になりました。こうして企業の最も大切な理念とロゴの刷新をリアルに共有する機会となりました。
今後は、2024年11月に迫った新社屋の落成。それに続き「人と街が、前に進むための力になる。」を体現すべく設計された「公園」も来年には完成予定であり、我々のブランディングのお手伝いは、まだまだ続きます。
ホンダカーズ博多さんの今後に、ご期待ください。
写真中央が、武藤常務
ディレクション:野中聡(CROMAGNON&Co.)
コピーライト:松田正志(文と絵)
デザイン:鈴木直之(DIAGRAM)
プロデュース:小柳俊郎(CROMAGNON&Co.)
- # コーポレートロゴ・シンボル開発
- # ブランドスローガン開発
- # ブランド基礎知識講座
- # 経営理念体系構築
- CLIENT
- 株式会社ホンダカーズ博多
- WEB
- https://www.hondanet.co.jp/hondacars-hakata/