「朝日酸素商会」地元を支えてきた老舗企業の経営理念再構築

「株式会社 朝日酸素商会」は福岡県糟屋郡志免町にある、創業85年を迎えた老舗企業です。

その名の通り「酸素ガス」の運搬と販売からスタートした企業で、現在ではあらゆる産業分野に不可欠な「産業ガス」と病院向けの「医療ガス」の販売をメインに、産業用機械までを取り扱うなど、まさに地元産業と医療における毎日の営みを支えてきました。

「産業ガス」及び「医療ガス」販売の分野は、同業他社との差別化が難しいながらも、その地域ごとのテリトリーもしっかりしており、また、同社の社員さん方も、お得意さんと非常に長いお付き合いをされている中で信頼も篤く、まさに安定経営の優良企業です。

2023年の秋。同社の杉谷副社長から、将来へ向けての企業ブランドについてのご相談をいただきました。

”今年（2023年）、85周年という節目を迎えたにあたって、次の20年、30年をどういう方向へ進んでいくか？　この会社が、何に価値をおいて、どこを目指しているのか？”会社の中にも経営陣の中にも、なんとなく存在する未来への「想い」をしっかりと言語化して、それを基に来年（2024年）から、未来へ進んでいくためのスタートにしたい。”

いただいた言葉からは、自社の未来に対する強い思いが伝わってきました。

地域産業と医療現場のインフラを動かしているという自負

このプロジェクトのスタート時点でも、同社には経営理念は存在していました。

決して、矛盾や齟齬があるものではありませんでしたが、杉谷副社長的には、新しい時代へ進んでいく理念は、経営者だけで決めるのではなく「社員全員の言葉や、気持ちを聞いて創りなおしたい」という思いがあったそうです。その時に、弊社クロマニヨンの考え方や手法に共感していただき、ご相談をいただいたのでした。

ここでいう「地域社会への貢献」とは何か？
「夢と希望のある社会」とは何で、どんな目指し方をするのか？

継続する企業には、それぞれカルチャーや価値観があります。
今回着手するにあたり、クロマニヨンとしては、朝日酸素商会さんの「独自のカルチャー」と、「大切にしている価値観」をしっかりと汲み取ろうと決めて、プロジェクトをスタートしました。

全社員ワークショップを経て新経営理念の誕生へ

ブランディングの最優先事項である、その会社の社会的な存在意義の「言語化」を行うこと。ここへ至るまでに、経営層へのインタビュー。全社員アンケート、そして全社員へのワークショップを行いました。
また杉谷副社長とは、クロマニヨン代表の小柳とお酒の席を一緒にしたりして、できるだけ多くのコミュニケーションを重ねながら「朝日酸素商会」らしさを探求していきました。

(全社員を２グループに分けて、2回づつ。計4回開催したワークショップ）

その中で我々が感じたのが、同社は長い歴史の中で信頼を得るような行動を、みなさんが自然におこなっていること。つまり、長い関係のクライアントさん含め、人と人とのつながりや、時には利益度外視でも、お客様の困りごとに協力したり、また地域とのつながりを大切にしてきた（今後も、していきたい）という、言葉がたくさん出てきました。

ワークショップの第一印象は、みなさん無骨で（失礼^^）で、物静かな感じかと思ったのですが、スタートすると社員さん同士の仲もすごくいい。社員同士のつながりもいい感じの雰囲気をたくさん感じました。実際ワークでの会社の好きなところは？の意見の中では、「個性を大切にできる風土」をあげる方もいらっしゃいました。

朝日酸素商会の新経営理念

そうしたあらゆる要素を融合して、新しい経営理念を、開発しました。

人を想う力や人とのつながりというキーワード。また、同社が新しい分野への挑戦も考えている部分もくみとった、PURPOSEとしました。もちろん、日本国！や世界！ではなく、自分たちの地域に活力をもたらす会社なのです。またVISIONに謳われた「福岡で一番頼りにされる」という言葉は、実際ワークショップから出た社員の皆さんの言葉、そのまま使われました。

そして、社内外への合言葉となる「スローガン＆ステートメント」はこれです。

同社のキーワードともいえる、人、社会、企業、社員同士の「つながり」。
それは「産業ガス」「医療ガス」という、直接目に見えないものがつなぐ。そして、つなぐことが新しい価値を産んできた！ということへのあらためての向き合いと、次の挑戦への決意。

普通に生活していたら気づかないけれど「朝日酸素商会」さんが運ぶつながりで、われわれは便利に快適に生活しているのかもしれません。

この新しい理念決定を受けて、10年ビジョンを含む、未来へ向けた経営指針作成の準備もスタートしたようです。
今後の同社にご注目ください！

ディレクション：金井隆太（CROMAGNON&Co.）
コピーライティング：松田正志（文と絵）、金井隆太（CROMAGNON&Co.）
プロデュース：小柳俊郎（CROMAGNON&Co.）